近年、「BI」や「BIツール」などデータ活用に関連する用語を頻繁に目にするようになりました。デジタル化が進む現在の
ビジネス環境において、正確なデータに基づいた迅速な意思決定は必須のものとなりつつあります。
そこで、今回はBIとBIツールの詳細や導入ステップについて解説します。
BIとはBusiness Intelligence (ビジネスインテリジェンス)の略称であり、社内で扱われるデータを収集・分析し、適切な形で可視化するこ
とによって業務効率化や経営上の意思決定に役立てる手法です。例えば、これまで人事や経理など部門別に作成していた経営資源の活用状
況などの情報を一か所に集約し、瞬時に全体の状況を把握するのに役立ちます。感覚的、属人的に行ってきた現状把握や意思決定を、デー
タをもとに行えるようになるのです。
BIの概念が生まれたのは1950年代ですが、データの活用にはコンピュータや通信の高性能化を待つ必要がありました。その後、コンピュー
タの発展とインターネットの爆発的な普及によってデジタル化されたデータの活用が活発になり、近年ではさらにスマホなどの普及により
膨大な情報が生成されるように。そのため、データをいかに効率的に集め、分析し、次のアクションにつなげるかが多くの企業にとって重
要な課題となりました。そのような課題解決をサポートするため多岐にわたるBIツールが存在しています。
BIを経営に取り入れる重要性
IT技術の発展や社会情勢の変化によってビジネスを取り巻く環境は常に変化しており、その中で経営者は効率よく現状を把握し、迅速に意
思決定を下す必要があります。働き方改革やリモートワークの推進、法規制対応など変化の激しい現代において、BIによる経営の最適化は
避けて通れません。いかに競合よりも早く変化を捉えて次の行動を取れるかがビジネスを成長させるためには重要なのです。
上述した課題を解決するには、社内横断的に分散したデータを収集・統合・分析して可視化する作業が必要です。しかし、これは本来IT・
データ処理・統計など複数の専門家の手を介すことで実現できるものです。ただ通常、経営に関するデータは人事・経理・製造・セールス
など部門ごとに別々のシステムやフォルダ内に異なるフォーマットで蓄積されており、統合して分析するのは既存の社内リソースだけでは
困難という問題があります。
そこで、どのような会社でもBIを導入できるように必要な機能をまとめたソフトウェアパッケージを、「BIツール」として様々な企業が提
供するようになりました。複数のデータソースからデータを収集して変換する「ETL機能(Extract:抽出、Transform:変換、Load:書き出
し)」や、変換されたデータを保存する「DWH機能(Data Ware House)」などを利用することで、BIツールは複数のシステムからの情報の集
約・分析を可能にします。
BIツールは目的に応じて3つのタイプに分類されます。
●「セルフサービスBI」
「セルフサービスBI」は分析に関する専門知識やスキルのないユーザーでも一般的なオフィスツールのように視覚的な操作によって分析や
レポート作成ができ、部門ごとの導入などにも適しています。
●「エンタープライズBI」
「エンタープライズBI」は組織または比較的大規模利用として業務の一部にBIを活用することにフォーカスしており、利用部門全体のデー
タガバナンスやデータ活用の一貫性などはIT部門で定義するなど、コンプライアンスを重視する場合に適しています。
●「エンベデッドBI」
「エンベデッドBI」はアプリケーションや既存のポータルページなどに組み込んで利用できるも
ので、ツールにより組み込みを容易に実現しています。アプリケーションと一体化した機能としてBI機能を利用でき、アプリケーションか
ら得られる情報を分析に適した可視化データとして得ることができます。
BIツールを導入する目的は、意思決定に有益な情報を、迅速かつ最適な形で、どこからでも確認できるようにすることです。BIツールがないと、社内
にあふれる膨大なデータは有効利用できないまま溜まってしまいます。変化の激しいビジネス環境で迅速な意思決定を行うためには、データから必要
な情報をスピードと正確性を持って把握する必要があるでしょう。データドリブンと呼ばれる、客観的根拠となる膨大な量のデータに基づいて経営判
断や課題解決を行うこの業務プロセスを行うためにも、BIツールは欠かせません。
データによるプランニング
データの可視化
市場には様々なBIツールが出回っており、それぞれ多様な機能が搭載されています。
ここでは一般的なBIツールに共通で備わっている主要機能を3つ紹介します。
●データの分析
まず、BIツールに必ず備わっているのはデータ分析機能です。収集したデータから統計計算などによってデータの代表値を算出して傾向を
確認したり、経営指標を算出したりできます。また、データ間の相関関係を見つけて将来の予測値を導くことも可能です。特に難しい専
門知識は必要とされず、表計算ソフトのように容易に分析が実行できます。
●データによるプランニング
プランニング機能は分析したデータをもとに仮説を立て、将来のシミュレーションを行うためのものです。プロジェクト予算の計画や
マーケティング戦略を検討する際などに役立ちます。例えば、過去の天気や時間帯ごとの売り上げデータから、次回の仕入れ量を決める
などができるのです。
●データの可視化
BIツールの最も重要な機能はデータの可視化です。データを分析して数値として並べただけでは分かりにくく、迅速な意思決定には
つながりません。瞬時に現状把握ができ、次に取るアクションを決めるためには、分析結果をグラフなど直感的に分かりやすい形に
可視化する必要があります。BIツールではダッシュボードやレポート機能などを使って、企業ごとに最適な可視化を行うことが可能です。
BIツールのメリットとデメリットを紹介します。BI活用を成功させるには、導入時の選択が一つのポイントとなるため、メリットだけで
なくデメリットも確認しておきましょう。
●BIツールのメリット
メリットは何と言っても、データ分析・可視化のスピードと正確性です。社内に散在するデータを一か所に収集し、抽出・分析・レポー
ティングが行えます。
手作業で行うよりもミスなく瞬時に分析結果を表示することができます。そして、高度なスキルを持つ専門家が社内にいなくてもある程度
の分析を行うことができ、その結果を社内のメンバーがどこにいても必要な時に参照することが可能です。さらにAIによる予測分析も可能
なため、精度の高い問題解決や意思決定ができるようになります。
●BIツールのデメリット
デメリットはBIツールの導入には費用がかかることです。ソフトウェアの種類や規模、利用人数によって価格設定は様々ですが、通常、
規模が大きく、機能が豊富なほど高額になります。そして、機能が高度になるほど導入時の設定やカスタマイズには労力が必要で、操作に
慣れるまでにも時間がかかります。初めて導入する場合は、機能を絞った操作が簡単な初心者向けBIツールや、導入後にユーザーへの操作
研修やサポートプログラムが利用できるものを選びましょう。
実際にBIツールを活用して成果を挙げている企業の事例を3つ紹介します。
ぜひ導入のための参考にしてください。
●セロリー株式会社
●クラシエ株式会社
●株式会社集英社
Step1:導入の目的を明確にする(要件定義)
Step2:予算確定
Step3:設計(※クラウド型の場合は設定)
Step4:実施、確認
一般的にBIツールの導入は上記4つのステップを経て完了します。目的を明確にせずに導入検討を始めてしまうと無駄な費用が発生したり、
導入後に欲しい機能がなかったりしてミスマッチが起きる可能性が高くなります。データをどのように活用したいのかを予め詳細に理解し
ておきましょう。また、BIツールを最大限活用するにはDWHを利用するかどうかも重要なポイントです。社内のあちこちに存在するデータ
を適切な形で一か所にまとめておくDWHを利用することでデータ取得の柔軟性が高まります。
実際に膨大にあるBIツールの中から自社に最適なものを選ぶのは非常に難しいでしょう。種類や機能の違い、価格、導入後のサポートなど
考慮すべきポイントは多岐にわたります。BIツールは長期的に利用するものであり、最良のサービスを選定することが最も重要です。
ジールはDWHとBIツールとの親和性を熟知しており、御社にとって最も効果的なデータ活用環境実現をご支援します。詳しくは以下をご覧
ください。
変化の早いビジネス環境においてデータ活用は必須の要素です。BIツールを導入することによって費用を抑えながら業務の効率化や迅速
な意思決定につながるデータ活用が可能になります。しかし、多くの企業にとってデータ活用のために新たにリソースを準備するのは容易
ではありません。
ジールは日本企業のDX実現を支援しており、これまで1,000社以上をサポートした豊富な実績があります。BIツールを活用して社内でデータ
活用環境を実現したいとお考えの企業様はぜひご相談ください。