『家族をひとつに!』
AIやIoTを活用した保育支援サービス「ルクミー」

このコラムは、Voicyをテキスト化し一部抜粋したものです。ご聴講はこちらをクリックください。

今回は、ユニファ株式会社代表の土岐泰之さんにインタビューした記事です。

本日の登壇者

ユニファ株式会社代表の土岐泰之さん。子育て経験者です。

 

1.会社紹介

ユニファという社名の由来は、Unify(一つにする)と Family(家族)を掛け合わせています。
ルクミー(Lookmee)というサービスブランドを立ち上げ、『家族をひとつに!』を合言葉に、テクノロジーを使った保育のDXを進めています。
『Lookmee』 の ❝me❞ は子ども達を指しています。

 

ユニファ株式会社
https://unifa-e.com/

“look at me”「 私を見て」という意味が込められ、保育園・幼稚園・こども園向け保育ICT・研修サービスです。テクノロジーを用いて保育者と家族が子ども達を見守る仕組みを実現しています。保育者、保護者が幸せになるためのサービス作りを行っています。
具体的なサービスとしてはこちら。

・手書きの連絡帳がアプリで閲覧できる

・園内での写真をネット上で閲覧し注文できる

・保育者の書類業務をICTで効率化する

・保育ドキュメンテーションなど現場で実践するためのノウハウを学ぶオンラインの研修制度がある

 

 

 

2.起業した背景

2013年に起業しました。私自身、妻と共働きで子育てをしていました。仕事と子育ての両立は苦労の連続でした。そこで一大決心をし、私がキャリアを中断して妻が暮らす愛知県へ移住し、専業主夫をしていた時期がありました。当時、コンサルティング会社に勤めており、同期はキラキラと仕事に励む中、専業主夫になることはだいぶ葛藤がありました。妻とも話し合いを重ね、両親にも反対されましたが、改めて振り返った時、自分にとって一番大切なものは、家族と家族の幸せであると気づいたので、私らしく生きるための挑戦としてその選択は正しかったと思います。そういった経験から、事業を立ち上げる時には家族の幸せをテーマに掲げよう!という想いがありました。

 

 

 

3.現場の保育者の状況と課題

保育者は全然足りていません。有効求人倍率が4倍近くある中、全職種平均が1.5倍なので、それに比べると2倍以上人手が足りないのが実情です。保育士の資格はあるけれど、実際に働いていない方の割合は意外と多いです。保育者のなり手がいない課題として、長時間労働というものがあります。保育者は、子どもと向き合っている時間以外に、書類の業務や、手作りで行う行事の準備などがあります。この部分は必要な業務として行っているわけですが、改めて考えると手書きで作る必要はあるのか、手作りの必要はあるのか、昔からの風習で残っているため、今もその方法で行わなければならないなど…。そういった保育者の負担が離職の要因の一つでもあります。

また、園内での人間関係も課題としてあがることもあります。保育には正解があるわけではないので、その中でどのような教育を行うのが良いのかという問題を抱えて離職されるようなケースもあります。

さらに、万が一の事故が不安であるなど、精神的な負荷が要因としても上がります。大切なお子様の命を預かりながら、事故を起こしたらどう対処するのかなど、業務上の課題として上がってきています。精神的な面で追い詰められてしまうと時間と心にゆとりが生まれませんので、最終的に子どもと向き合えないという大きな課題が解決できないと捉えています。

 

 

 

4.保育施設の日常をセンサーに

体温を測る際に、脇下で測る検温方式から、非接触の検温方式に変え、お昼寝中の呼吸の確認、寝ている角度の検知にセンサーを導入しました。0歳児のお昼寝には事故のリスクがあります。そのため数分おきにチェックをしなければなりません。センサーを付ければ、体の傾きや呼吸のチェックをすることもできますし、異変があれば専用アプリがアラートでお知らせしてくれます。

またお昼寝は、乳幼児以外も大勢の子ども達が一斉に行います。先生はお昼寝の子ども達を一人で見守らなければならないので、何かあった場合は不安があると思います。そんな時に医療機器を装着していれば、先生の目とセンサーとでダブルチェックでき、異常検知があればアラートが鳴るので、周りの先生の力も得やすいし、チームで見守る保育が実現できます。

こうした様々な業務がありますが、その一つ一つの DX化 を実現し、保育者の業務改善に取り組んでいます。

 

5.デジタル技術の導入で得た効果

❶業務時間削減
保育者の業務時間を当社のサービス導入前後で約65%削減できた施設もあり、保育者の時間のゆとりを生み出しました。
 

❷心のゆとり
センサー導入により、保育者の精神的な負荷が下がっているというバイタルデータもあるので、ストレスを軽減し、ゆとりを持った保育ができます。

❸仕事のやりがいが向上で離職率低減
保育者にもセンサーを付けてもらい、精神的な数値を把握することで、心の変化に気づくことができるようになりました。抱え込んでいた悩みを知ることで、離職率の低減につながっていくと思います。また、子どもが初めて靴を履こうとした瞬間、歩いた瞬間など、コメントを付けて写真や動画をアップするなど、子どもの発達支援に注力し保育にだけ専念できるようになるため、保育者としてのやりがいの創出にも繋がると思います。

 

 

 

6.データから導かれる無限の可能性

データが蓄積されてくると、あらゆる可能性が見えてきます。子ども達の写真だけでも既に1億枚以上保存されています。また顔認識の技術を独自で開発し、分析まで行っています。すると、いつも一緒に写っている子ども達はとても仲が良いことが分かります。更に子どもの視線の先の物体認識と組み合わせ、その子が最近ずっと読んでいる絵本を特定することができます。子どもの興味も解析ができるので、興味や関心に応じて、絵本や図鑑を薦めることができるのです。そういった分析を元に、保育の進め方や、家庭での育児のヒントになっていくと信じています。

 

 

 

 

 

 

7.声なき声を可視化する

★子どもにとってのメリット
子どもは自分の健康状態や興味関心を把握し、上手に大人に伝えられるかというと難しいです。発達過程の写真や動画の分析、体温を計測、睡眠中の状況把握など子ども達の声なき声を可視化することで、いつもと様子が違うので、感染症かもしれないと原因を探るきっかけになると思います。このように、大人たちが適切なタイミングで適切な対応をし、子ども達に手を差し伸べてあげられます。それこそがこの保育施設のDX推進を行う大きなポテンシャルだと思います。育児は答えがありません。お子さんが自分の言葉でこれをしてほしいと正解を提示してくれるわけでもありません。そんな中で声なき声を拾い、次のアクションに繋げいくことは、すごく大事なことだと実感しています。

★大人にとってのメリット
保育施設のクラスに馴染めていない、子どもがぐずるなどした場合、データを可視化することにより周りの大人たちへ、ひとつの指針を与える事ができると思います。子どもの様子を心配した親御さんは、原因をネットで調べ誰かに相談し、その結論として漠然と愛情不足だという答えに辿りつくかもしれません。しかし全てを愛情不足とひとくくりにして良いのでしょうか?子ども達はもともと、一人、一人個性があるため、必ずしも愛情不足で解決できない面もあります。そういった時に声なき声を分析することでより詳細な原因をつかむことができると思います。

 

 

 

 

 

8.最後に

保育にテクノロジーを用いる一連の取り組みから、保育業界の付加価値の向上を目指して、今年オンラインで学べるスクールを開講しました。スクールでは、お互いの悩みを共有できるコミュニティが広がると思いますし、受講した生徒の中から講師陣やアンバサダーが輩出できたらいいなと思います。更に、保育者の専門性を高めて行く場合、現場で働きながら得た知識を講演したり、保育のマネジメントスキルを獲得したり、悩めるママたちの相談カウンセリングなどに応じたり、保育施設の運営側の知識や、保育者のキャリアを複線化していくことにより、彼らの能力を社会へ還元できるような仕組みづくりができると思います。それが離職率の低下や保育業界の活性化、保育者の専門性や付加価値の高まり、社会的なステータスを上げていくことに繋がりますので、これこそが家族の幸せを生み出す新しい社会インフラだと思っています。