⏱2023/4/17
このコラムは、Voicy をテキスト化し一部抜粋したものです。ご聴講はこちらをクリックください。
ヤンマー建機株式会社の田中重信さんのインタビュー後編の記事です。DXにおける魅力をテーマにお話しいた
だきました。前編では田中さんの経歴、MotionBoard というBIツールを導入し【nest】というユーザーコミュニ
ティに参加したお話を。後編では MotionBoard を使ってどのような業務改善を行ったのか、またその際にどのよ
うな人を巻き込む必要があったのかを伺いました。
品質保証部で毎月の KPI の月次報告をするところからスタートしました。
私がヤンマー建機に転職して一番初めに思ったことは、皆さんが手作業で、資料を作成していることについて、ツールを用いればすぐでき
るのにという点です。まずはそこから改善していこうと思い、KPI を自動で出すことから始めました。
最初は MotionBoard を使わず、全社標準で使っていたツールを使えるようにしました。
その後、皆さんが MotionBoard の操作ができるようになり、さまざまな方に MotionBoard の良さを知ってもらった上で導入しました。
導入後は、MotionBoard の各種機能を加速度的に、日々使う市場の品質情報や品質データを可視化していきました。データの入力など操作が
できるボタンを配置して仕掛けを作り、皆さんが使いやすいボードを部内のメンバーと一緒に作りました。
MotionBoard 以前は Excel の作業がメインでした。社内システムからcsvデータをダウンロードし、Excel の関数を組み合わせてデータを整
備し、その後きれいなグラフを作ります。
長い期間 Excel を使っていた人はデータのダウンロードは数十分で終わるし月一回だから負担はないとの意見もありました。
ただ部門責任者や若いメンバーを中心に、多くの方がその時間はやはり無駄だなと思って賛同してくれました。
また、例えばその作業に10分かかるとすれば、その10分を10個やったら100分かかります。それを一年にすると…と説明していく
と納得してもらえることもありました。あるメンバーが作っているExcelのデータと同じものを MotionBoard で作って送りました。すると、
その次の日から僕のところに来て、「ちょっと MotionBoard で出してもらえませんか?」となりました。こうしてじわじわと MotionBoard が
浸透していきました。皆さんにはいつも、「私はソフトウェアのコードを一行も書いたことがありません!」と言っています。MotionBoard
はご存知のように素人でも扱える商品なので、その点をアピールしてみんなを巻き込んでいきました。
MotionBoard の良さが伝わった後は、生産部の方たちと一緒に「データ活用ワーキンググループ」を立ち上げ、週一回の勉強会を開催し、
さまざまな部門へ広げて行きました。
定期的にいつものメンバーが集い、部門に戻ったら部門の方たちに教えるコミュニティが社内にできました。
そこで、プロの人を巻き込むということが必要だと思います。
まずは経費などを管理する責任者に向け、どんなコストメリットがあるのかを説得するのがポイントでした。
当然業務効率、ビジネスのスピードを求められていますので、そういった面を含めたツールを導入するコストメリットを説明し巻き込みまし
た。ダッシュボードなどの開発は自分たちで解決できる部分も多いのですが、限界があります。
そこで MotionBoard とベストマッチする Dr.Sum(高速データベース)を一緒に導入することを考え、外部のパートナー( SIer )、情報システム
のインフラの担当者、そして先ほどお話しましたExcelを使っている方々などを説得し、あとは加速度的に増やしたいと思い、まずはExcelで
困っていそうな方に対し話をしました。PC のパワー不足で120万行を超えると使えない、あるいは、Excel の処理を始めると30分間 PC が
使えないことに困っている方々を巻き込んでいきました。
今では巻き込まれていく皆さんが「ありがとう」と言いに来てくれることがやりがいに繋がっています。そういった声を上げる方々の中には
「MotionBoard の勉強をしたい」と言ってきてくれる方も多いです。そういう成功事例が出てくると加速度的に広がっていくなと感じています。
特に若い年代は効率化(=無駄な仕事の排除)を進めたいと考えている方が多いのが嬉しいです。ただ何から始めればよいかわからないという
意見もあり、私たち DX 推進グループがきっかけとなるツールやデータの基盤を揃えています。作業面の課題が、ひとつ解決できたと思います。