開示要請の高まりと企業価値向上に資するESGマネジメント
~財務・非財務のデータ統合、サイロ化された業務・組織・データの壁をDXで乗り越える~

2022年1月27日、アバントグループ3社(株式会社アバント、株式会社ジール、 株式会社ディーバ)の共催で、『開示要請の高まりと企業価値向上に資するESGマネジメント~財務・非財務のデータ統合、サイロ化された業務・組織・データの壁をDXで乗り越える~』が開催されました。
このセミナーは三部構成になっており、本記事では第二部をレポートします。
第二部では、サステナビリティ開示に向けたデータマネジメントの取組み領域とそれに対して、お客様と一緒に進めている※温室効果ガス(GHG)排出の具体例をピックアップしてご紹介していきます。
※温室効果ガス(GHG [greenhouse gas]): 水蒸気、二酸化炭素、メタン、一酸化二窒素、フロンなどの温室効果をもたらす気体で、京都議定書における排出量削減対象となっています。
――登壇者――
株式会社ディーバ
開発統括本部 三宅 良和 氏
ESGデータマネジメントでは、計画・実行・モニタリング、そして評価・見直し・報告という流れで実施していきます。
ESGデータマネジメントといっても、非常にトピックとして幅が広く、数量的に図れる定量的なものや定性的なものなど、いろんなものが含まれていますが、本セッションでは、温室効果ガス(GHG)排出の対応例をピックアップしてお話しします。
この環境系のところに関しては、※TCFD提言の四つの柱があります。
・ガバナンス
・戦略
・リスク管理
・指標と目標
この四つの柱について、開示内容を揃えていく必要があります。いろいろな論点がありますが、情報収集と業務効率の改善を中心に、現状の分析、予測を行い、業務効率を改善していくところが、我々の中で取り組んでいく領域として進めています。
※TCFD:Task Force on Climate-related Financial Disclosures (気候関連財務情報開示タスクフォース)の略称で、金融安定理事会(FSB)によって、設置された企業の気候変動への取組みや影響に関する財務情報についての開示のための枠組みです。
温室効果ガス(GHG)の情報収集、レポート分析ですが、実現していこうとすると、以下のような課題がでてきます。
・各種GHG算定基準・開示項目の把握と更新内容への対応
各種の算定基準や開示項目が頻繁に変わっていきます。例えば※GHGプロトコルや温対法、TCFD提言など。
・各拠点での収集情報を揃え集計する手段と運用手法
例えば製造業では、いろんな部品の単位が揃っていなかったり、換算方法が違ったりすることがあります。
またその国やプロセスごとに違う可能性なども考慮する必要があります。
・収集・集計した情報の内容を担保する手段と運用手法
集めてきた情報が開示に耐えうるものなのか、信頼性の担保や保管履歴の管理なども重要になってきます。
・集計した情報の共有と有効活用
集めた情報を財務との関連性を確認し、経営管理につなげていくということが重要です。
※GHGプロトコル:温室効果ガス排出 量算定に関する基本ガイドライン
出典:環境省「サプライチェーン 排出量算定の考え方」
URL:https://www.env.go.jp/earth/ondanka/supply_chain/gvc/files/tools/supply_chain_201711_all.pdf
※温対法:「地球温暖化対策の推進に関する法律」
出典:e-Gov法令検索 URL:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=411CO0000000143
上記の課題を解決していくアプローチとして、3つのキーステップで考えています。
・GHG情報収集の効率化
仕組み化とGHGでの標準的な収集項目やその運用方法を蓄積しているので、そのノウハウを共有しながら取り組んでいきます。
・GHGの情報と管理、処理の一元化
システム化による情報の一元管理を実現。ワークフローと履歴管理も実装し、データの信頼性や保全性も担保していきます。
・GHGの情報分析と経営判断への寄与
GHG関連情報だけではなく非財務の情報も含めて総合的に判断をしていける場を提供します。また、常に最新の情報を関係するメンバーに提供する仕組みを提供します。
こちらが収集と目標入力と実績の入力の場所になります。
各拠点の進捗状況が一覧で見ることができます。
フォームは、自由に設計が可能で、いろんな形で定義できます。例えば、GHGに関しては※スコープ1、スコープ2、そして温対法や換算係数が違うパターンも準備しています。
※スコープ1:事業者自らによる 温室効果ガスの直接排出
スコープ2:他社から供給された電気、 熱・蒸気の使用に伴う 間接排出
温対法:地球温暖化対策の推進に関する法律
出典:環境省『物語でわかるサプライチェーン排出量算定』
URL:https://www.env.go.jp/earth/ondanka/supply_chain/gvc/files/tools/Supply-chain_A4.pdf
レポートの画面を開くと、最新の状況が一覧表として表示されます。一覧表形式での実績と目標が表示されていますが、それぞれ別表にしたリ、サマリーを表示したり、自由な形で表現することができます。
モニタリング機能についても紹介します。
各拠点に目標値と実績値の乖離、そして、本社から見た時にどの拠点が一番排出量として変化をしているのか、ということをいつでも見ることができる状態にしておく目的のものです。この画面では、7月から6月という会計年度の会社を想定しています。目標値は、緑色の線になっており一年分入っています。実績値としては赤い線で一月まで入っている状態です。実績と目標の乖離やどれだけ削減できているかを見ると、目標値よりも実績値が20%下回っていることが一目でわかります。さらには、要素別にドリルダウンをして、LPG都市ガス別に見たり、会社ごとの推移を、もう少し詳細に見ていく事も可能になっています。
このようにいろいろなビジュアライゼーションがありますが、現場としては最終のレポートではなくて、最初のレポートが出る前に、どういう活動をしていくのかの支援も準備しています。
我々のソリューションを導入いただくと、GHGの基本パターンのテンプレート、レポーティング作成の効率化、状況トラッキングも自動でできます。環境情報を集めてレポーティングするだけであれば、すでに実現できている企業があるかもしれませんが、これを経営情報として昇華させて、さらにESGの領域までカバーをして行くとなった時には、定性的な情報も集計していくことができます。ソリューションの概要については非財務情報 マネジメントのサイトを参照ください。また、今までご説明した製品は、DivaSystem FBX で実現をしておりますが、それぞれの機能に関しての詳細は、製品ページを参照ください。
アバントグループのESGマネジメントのソリューションとして、各種のソリューション準備しております。ESGのその他のテーマに対しての対応もカバーも進めております。次のセッションでは、ESG Dashboard をご紹介しますので、ぜひご参照ください。