変化の激しい時代にテクノロジーができること
~未来を見据える力をSAC(SAP Analytics Cloud)で簡単に~

2020年9月11日、株式会社ジールにて、『【ウェブセミナー】変化の激しい時代にテクノロジーができること~未来を見据える力をSAC(SAP Analytics Cloud)で簡単に~』が開催されました。その内容をレポートします。

目次

■第一部 Withコロナ時代に見直すべき企業情報活用のありかた
  <講師> SAPジャパン株式会社 ソリューション統括本部 ビジネス企画部 
       CoE(Center of Excellence) AI Evangelist 福岡 浩二氏
■第二部 計画とシミュレーション ~これまでの予算管理とこれからの計画管理~
  <講師> 株式会社ジール ビジネスディベロップメント部
       マネージャー 土田 翼 氏
■第三部 ジールSAC Planningスターターキットのご紹介
  <講師> 株式会社ジール ビジネスディベロップメント部
      コンサルタント 野堀 智夏子 氏

■第一部 Withコロナ時代に見直すべき企業情報活用のありかた

このコロナ禍の状況で、企業活動がオンライン化していくことに対して、どのような観点を考慮すべきなのか、そしてその中でも情報の利活用は、どのあたりに気を配って進めていくべきなのか、ということをお話していきます。

 

コロナ禍 企業活動のオンライン化 で考慮すべき論点

現在大手企業を中心に、本格的なリモートワーク環境を整備している会社が増えています。2020年の情報通信白書と直接お客様から伺った内容を整理すると、ヒトの軸、業務の軸、経営の軸、この3点を考慮しながら、構造の見直しをしていくべきだと考えています。また、従業員の心理的不安への配慮などを考えると、物理的にICTの環境を整えるだけでは、構造を変えることは難しいものです。構造の見直しをする際には、その進め方についても考慮していく必要があります。

では、その進め方ですが、まずは、活動の見える化、次に業務の見直し、そして事業構造の改革、というステップで行っていくことが推奨されます。本日のテーマは、最初のステップである活動の見える化、情報の利活用基盤の見直しを中心にお話したいと考えています。それには、まず3つのポイントがありますので、順に掘り下げていきたいと思います。

1.経営(財務) と業務(非財務) の繋がりを意識
2.AI とヒトの調和型意思決定 (想定外への備え)
3.データドリブン型組織設計(透明性・効率性)

1.経営(財務)と業務(非財務)のつながりを意識

経営層の視点と現場の視点、それぞれが対話できるつながりを持った仕組み、情報の利活用が必要とされます。経営層の方は短期だけでなく、長期の視点で経営活動を定めますので、日々の業務の最終的な成績としての財務をフォーカスします。そして、実務層は、今、起こっていることに対する視点、例えば営業の方だったら、日々の訪問件数とか非財務的な視線にフォーカスしています。これを全社レベルで繋げていくことは、大半の企業ができていませんが、このコロナ禍の状況では、ある程度繋げる必要性があります。

しかし、これを実施していくことは困難ですので、バランススコアカードというアプローチを使っていこうという動きがあります。バランススコアカードとは、財務、非財務、過去、未来というようないろいろな対立構造を多面的にモニタリングできるビジュアルなコミュニケーションマップです。

バランススコアカードは、従業員の視点、業務の視点、顧客の視点、財務の視点でモニタリングしていくのが基本形ですが、このコロナ禍では、もうひとつ新しい視点を加える必要があります。それは、社会の視点、もしくは環境の視点です。この視点は、確実に財務に影響をしておりますので、想定外のリスクとして備えていく必要があります。このバランススコアカードを利用することによって、経営層と各実務層の分断を避けることができます。大事なのは全体として現場、経営層、それを取り巻くステークホルダーという視点で何が起こっているかということを分かりやすく各関係者が1つの画面で可視化できることになります。

2.AI とヒトの調和型意思決定 想定外への備え

現在、どの業界も経営が複雑化しており、各KPIを人力で管理していくことは、とても労力がかかってしまいます。従ってAI、場合によってはRPAなどによって自動化していくことが必要です。

AIとヒトの違いは、過去の事実、過去のデータを元にして次を予測するということです。また、これがAIの限界でもあり、想定外のことは予測できません。よって、AIとヒトが両輪になって判断していくことが重要となります。

逆に、AIがないと、どうしても勘や経験に依存してしまい、主観と主観がぶつかってしまうので、不毛なコミュニケーションになりがちです。マシンに任せるところは任せてあげて、客観性をある程度踏まえた上で、建設的な対話を誘発していく、そして迅速にフォーキャストを修正していければ、PDCAを回していくことができます。

3.データドリブン型組織設計:SAP の事例

SAPでは、2010年ぐらいまでは各地域、場合によっては各部門ごとにExcelのマクロに詳しい人たちが力技で、Excelワークを中心にレポーティングし、分析していました。しかし、現在では、Excelを含めた分析作業を完全に切り離して、専門の組織を作りました。その部門がIntelligent Data&Analytics部門になります。Intelligent Data&Analytics部門は、ITだけわかる人でもダメですし、ビジネスだけわかる人でもうまくいきません。時には組織を横断し、対話、調整が発生する可能性も大いにありますので、個々のメンバーに関しては慎重かつバランスをとって人材を採用しています。また責任体制の整備も重要です。SAPでは、業務フローに対して責任を持つのがCOO、インフラに関してはCIO、マスターデータマネージメントは経営層レベルで責任を持っているCOOが兼務しています。そのKPIを使って最終的に業務的な効果を生むか生まないかというところは、エンタープライズアナリティクスのヘッドが責任を持っています。

もう1つとTips的なお話になりますが、重要な要素があります。それは必ずフィードバックの仕組みを取り入れることです。SAPでは、作成した分析レポートが、アップルストアやマーケットプレースと同じように評価される仕組みになっています。Intelligent Data&Analytics部門は、常にユーザーからの評価がKPIに直結しています。
このように社内のコミュニケーションを非常に重視しています。このような仕組みがないと、興味ある人しか使わないで終わってしまうケースがありますので、日々改善を続けながら回しているところが1つのポイントになっています。

With コロナ時代の情報活用基盤とその段階的成熟ステップ(案)

企業情報活用基盤の進め方としましては、まず経営から現場まで重要なKPIを整備し、可視化していくこと。次に段階的にAIの導入を増やしていき、そして、データドリブン型の組織に変えていく流れがお勧めです。業務的な機能要件としては、AIを活用した将来予測の導入や業務への即用性が求められます。それをIT要件に変換したものが下記の通りです。

<質・スピードを支える情報活用基盤要件>
質:可視化・予測・計数調整機能を包含、高いスケーラビリティ(リアルタイム性を含む)
スピード:Cloudで迅速な展開/改修、コンテンツの充実(自社&パートナー)

質という観点では、可視化、予測、値の代入をするシミュレーションなどのワンストップで機能を包含されること。かつ段階的にスケーラビリティーがあること。スピードに関しては、迅速な展開・改修ができるクラウドの利用。コンテンツというところに関しては、自社だけではなくパートナーとすぐに提供できることがお勧めです。特に今回の比較的順位としては、財務、特に予算管理はどこの会社も必要とされてますので、そこのテンプレートかつ豊富なナレッジを持つジールのテンプレートに関しては、非常に即応性が高いと思っています。

SAP Analytics Cloud は、上記の機能要件を備えたクラウド型のワンストップソリューションの分析基盤です。可視化、そしてAI的な機械学習、そして予算管理に代表されるケースのシュミレーション機能をすべて持っており、それをワンストップで提供しています。

■第二部 計画とシミュレーション ~これまでの予算管理とこれからの計画管理~

これまでの予算管理とシステム導入の背景

予算管理やプランニングの領域で、システム導入を検討されているお客様が多くおりますが、まだシステム化が充分に浸透しておらず、Excelで実施されているお客様がほとんどです。Excel であるがゆえに時間がかかったり、信頼性に欠けたり、属人化してしまうので、そこを改善したいということでシステム化が検討されてきました。

また、Excelの業務による負荷軽減や如何に効率化していくかというところにフォーカスされてきた経緯があります。そのため、単に効率化システムのような位置づけに置かれてしまうケースが多く見受けられます。

Planning システムとは

Planning システムは、本来どのような役割があるのかということを整理をしていきます。

BI製品は、過去の実績を経営の指標として役立つデータに変換していくものです。それに対して、Planning 製品は、未来のデータという言い方をする場合がありますが、今あるデータを見るために用意されたシステムではなく、未来の数値をどうつくっていくかという意味で活躍する製品になります。具体的には、予算編成、予実管理、非財務指標・KPIを管理するものになります。そして、本セッションでフォーカスする内容は、分析・シミュレーションです。

シミュレーションとは

シミュレーションとは、現在、存在していないデータを前提条件に従って作ることです。

そして、シミュレーションには3つのアプローチ方法があります。

1.過去データをもとに算出するアプローチ
2.高度な統計的アプローチ
3.基本的なアプローチ

1.過去データをもとに算出するアプローチとは、前年実績の売上構成比に応じて来期の売上がこうなるから、販管費はこうなるだろうというようなアプローチ。固変分解など。
※固変分解:損益分岐点の売上高を計算するために費用を固定費と変動費とに分解すること。

2.高度な統計的アプローチとは、例えば、非線形時系列予測があります。過去の数字の変異、波というのも加味しつつ、将来どのような姿になってくるのかを算出するような方法です。感度分析は、関連する項目も加味しながら計画を立てていく方法。モンテカルロシュミレーションは、因果関係のある要素がそれぞれどういった確率で起こりうるのか、さまざまな組み合わせをして予測値を割り出していく方法です。

3.基本的なアプローチとは、前程条件と変動要素を頭で整理をして、試行を繰り返す方法です。将来起こりうるものは、どうしても機械的にはアプローチできなかったりします。そこを人間の頭で考えて、試行を繰り返す方法というのが基本的なアプローチであり、最も重要な方法だと考えています。

これまでの予算管理とこれからの計画管理

これからの業務計画は、プランニングシステムやAIの機能に任せられる要素は移管して任せてしまい、変化や想定外、そして機械では割り出せない分析やシュミレーションについて時間を使っていただきたいと考えています。

■第三部 ジールSAC Planningスターターキットのご紹介

SAP Analytics Cloud について

SAP Analytics Cloudは、BIと呼ばれる分析、可視化の機能、プランニングと呼ばれる予算・計画の機能、AIと呼ばれる予測・機械学習の機能を備えており、情報活用に必要な機能をすべて網羅しています。

そして、今回ご紹介するSAC Planningスターターキットは、予算・計画の部分であるプランニングを中心としたソリューションになっています。

ZEAL SAC Planning スターターキットの概要

ZEAL SAC Planningスターターキットは、計画業務をすぐに始められるように必要なものをセットで提供しているものになります。具体的には、データモデルやサンプル画面が準備されており、SAP Analytics Cloud を導入後、すぐに使い始めることができます。また、お客様自身で運用管理できるようにトレーニングやサポートも含まれていますので、安心して利用することができます。

通常、システム製品の導入には、要件定義を行いゼロベースからデータモデルを考えていきますが、このスターターキットには、汎用的なデータモデルが入っていますので、お客様が、あるべき姿を検討しやすく、業務に沿った最適なデータモデルを導入できます。また、利用マニュアルとトレーニングもセットになっていますので、お客様が行いたいことを実現しながら使いこなせるように支援していきます。

SAC Planningスターターキットで提供しているものは下記の図の通りです。

まとめ

このコロナ禍という状況も影響して、先の見えない状況が続いていきます。いわゆる将来の予測がしにくい世の中です。このような状況において、計画通りに企業経営を続けることは難しく、様々な出来事に対して迅速な対応が求められます。予期せぬ災害や社会の状況の変化に対して速やかに対応していくために、改めて情報活用の基盤を見直しをする時が来ているのかもしれません。情報活用基盤を見直しや改めて導入を検討される際には、本セミナーで紹介していた、SAP Analytics Cloud をご検討してみるのはいかがでしょうか。
もっと詳しく知りたい思われた方は、こちらからお問い合わせください。

ZEAL SAC Planning スターターキットの詳細は、こちらです。